2010年5月26日水曜日

Google I/O 2010を終えて

今年のI/O期間中のサンフランシスコは少し肌寒い感じだった。
小雨がパラつく中の開催。その後は快晴だったが。

after I/O bike tour

ほとんどの参加者は少し前まで「今年はどんなサプライズ(プレゼント)があるのだろう」と思っていたが、それも事前にNexus One、Droidを配布するという告知とともに消えていた。もちろん、嬉しいプレゼントだが、それも事前配布であることと、既にDroid、N1は色々なイベント等で配布されているため、サプライズというものではなかった。

ところが、開催二日目にして4G WiMAX搭載の期待されていたAndroid端末である HTC EVOの参加者全員プレゼント発表によってまさかの端末2台配布、大きなサプライズとなる。

しかしそれにもまして今回は、Androidはもちろん、数々の多くの新発表のサービスやプロダクトがあった。Google TVやHTML5のコーデック統一への足がかりとなりそうなWebM、AppEngine for business、Chrome Web Store、Google Wave 一般公開、Android 2.2などなど。

Google I/O 2010

個人的には、わりと堅実に他社がマネタイズできるプラットフォームへとなるような施策をとってきたなあという印象。今までのGoogleはどちらかというと個人の開発者へそしてひいては個人のユーザーへのアプローチとしてのサービスやプロダクトの展開という点が多かった。インフラとしてより便利なものへ、という点に狙いを定めて正直なサービスが中心だった。
しかし、であればこそ、個人の開発者やユーザーからの興味は一身に受けつつも、企業からは煙たがられるような事も多く、Googleが巨大企業であり技術的に最も優れた会社であるというのは誰もが認めつつも、「Google I/Oへ参加しに出張へ行ってきます」というと「それが会社の利益にどう結びつくの?」とつっぱねられるような人も多かったはずだ。これまでは。

ところが今回の発表の多くは、他社も見過ごせないような、ビジネスモデルを考えうるお金が流れる仕組みやコスト面で優位に立ちうるものが多く、かつ最後にはEric Schmidtを司会に大企業のボスが席を並べて新型TVについて語るという、これまでのGoogle I/Oからはちょっと想像がつかない内容で終わった。

ちょうど一年ぐらい前から、よくエンタープライズやビジネスの分野への進出を考えてる節が見え隠れし始めてはいたものの、ここで一気に公にした感がある。

日本でも半年と少し前ぐらいから、SNSがアプリケーションプラットフォームをオープン化したことで多くのCP、SAPがflashやflash liteによるブラウザゲームなどに進出。今もその勢いは止まらない。SNSベースのプラットフォームの強みはユーザー数流入量の勢いで、単体でゲームをリリースしているときではなかなか考えられないユーザー数が流れ込んでくる。そしてそのサイクルも早い。 初期ユーザー数と寿命がまだ先読みできるようなものではないので、イニシャルでどれだけの設備投資をすれば良いのかが悩みどころだが、そこで頻繁に使われ始めるようになったのがAmazon EC2やGoogle AppEngineといったクラウドサーバだ。イニシャルコストはほぼゼロ、かつスケールも自由。
そしてfacebookを除く多くのSNSプラットフォームが採用しているのはGoogleが中心となって推進しているopensocial。

OpenSocial  State of the Union Summit
( I/O前日のOpenSocial State of the Union Summitの様子(休憩中))

Androidも、ユーザーデータをサーバ側に保持し、これを端末とシンクする形のものが多く、かつ人気があるため、アプリ開発者のサーバ利用は積極的な兆候にある。だが、iPhoneのAppStoreと同様に、世界中の個人から企業に至るまでの数多あるアプリがAndroid Marketに集約するため、アプリが埋もれがちだ。つまりリリース初期のユーザー数の見込みが立ちにくいため、サーバーへの設備投資も読みにくい。したがってこれもやはりクラウドサービスが良く使われている。
そして今後は多くのSNSプラットフォームがスマートフォン対応へと裾野を広げていく。
このように、数年前まではopensocial、Android、AppEngineといったものはそれぞれ別個に存在していたようなものが、いつの間にか必要にかられて密接に結びついてきている。

Google MapsなどのGeoサービスも、モバイルでのGPS利用によってさらに重要度が増し、さらにモバイルデバイスでの利用を考慮したようなフィーチャーがHTML5で実装されてきている。

開発者としては、多くの手段がGoogle(など)によって提供され、それを使って何をするか、という事には変わらないが、今はその組み合わせ如何が重要度を増してきたようだ。mashupという言葉がはやっていた頃は、そのmash upした結果が面白いものでもなかなか収益に結びつくものは少なかったが、今は普通にそれでビジネスが成り立つレベル。
Androidにしか興味がないから、Androidのセッションだけ出続ける、Mapsにしか興味がないのでGeoだけ、といった行動は決して悪いことではないし、それは個人の自由ではあるのだけど、そのあくまで個人の自由としてボク個人の意見をいわせてもらうなら、Google I/Oは色々な本当にたくさんの面白いセッションがあるので、興味の赴くままにもしくはフラッとどこかの部屋に立ち寄ってみるのをオススメしたい。
意外な接点やヒントが見えてくることも多いから。

Google I/O 2010